写真の記録画素数の選択

ウェブ上で公開する写真をファイルとして保存するときの画素数ないしはファイルサイズをどのように決めたらよいのか。このような疑問があり、この実験を思いついた。

画像のファイルサイズを小さくすると、ウェブ上で画像を素早く表示することができ、かつ画像保存のディスク容量を節約することができる利点がある。一方、ウェブ上で画像を表示する大きさを一定とすると、ファイルサイズを小さくすることによって画質が低下し、やがては画質の低下が目に見えてくる。このようなトレードオフを実感するような実験を思いついた。このような実験はどこかで既に公開されている思うが、幾らかの関連ウェブページを見た限りでは見当たらず、自分自身のために実験をすることにした。

ここでは画像として写真を想定しているので、写真に関して一般的に用いられているJPG形式の画像を用いる。このことに関連して「ビットマップ画像」や「画素数」などの基本的な知識が必要な場合は下の参考文献が役立つ。

ビットマップ画像において、画像データとして記録されている画像の画素数（ピクセル数）は「記録画素数」と呼ばれる。記録画素数は画像をファイルとして保存したときの画素数（ピクセル数）であり、記録画像の容量を示すことから「記録サイズ」とも呼ばれる。例えば画像処理ソフトにおいてイメージの「サイズ変更」や「リサイズ」と呼ばれている機能を利用して画像の画素数を変更し、その画像をファイルとして保存したときの画素数（ピクセル数）が記録画素数や記録サイズである。記録画素数は画像データの総量と直結しているので、ファイルサイズを示すバイト数と比例的に増減する。ある解像度のディスプレイ（モニター）において、ファイルに保存されている画像を縮小・拡大することなく表示するときの大きさが記録画素数や記録サイズを示している。そこにはディスプレイを通じて見た記録画像の大きさが示されている。

これに対し、ある解像度のディスプレイにおいて、ある画像を実際に表示する大きさの方は「表示サイズ」と呼ぶことする。表示サイズも画素数（ピクセル数）で示されるので、その画素数のことを「表示画素数」と呼べば良いように思えるが、そのような用語は使われていないようだ。表示サイズと同じ意味で「画像サイズ」が使われているケースも見かけるが、画像サイズは混同を起こしやすいので、ここでは「表示サイズ」を用いる。

一方、ディスプレイ画面の大きさも画素数（ピクセル数）で示され、こちらの方は「表示容量」と呼ぶことにする。つまり、表示容量は最大の表示サイズを示す用語として用いる。

幾らかの用語が出てきたので、整理してみよう。

記録画素数＝記録サイズ＝画像データとして記録されている画像の大きさ（画素数）
表示画素数＝表示サイズ＝画像をディスプレー上に実際に表示する大きさ（画素数）
表示容量＝最大の表示サイズ＝ディスプレー画面の大きさ（画素数）

この実験では画像の表示サイズを一定に保ち、記録サイズ（記録画素数）を小さくすると、バイト数で表わすファイルサイズがどの程度小さくなり、それに応じて画質がどの程度悪くなるかを見る。 JPG形式の画像であれば圧縮率を大きくすることによってもファイルサイズ（バイト数）を小さくできるが、ここでは圧縮は利用しない。つまり、他の条件を一定に保った環境において記録画素数を変化させ、それに応じてバイト数と画質とがどのように変化するか実感する。

画像処理ソフトを用いて記録画素数は次の８レベルに設定する。

2000x1500: 300万画素
1600x1200 (UXGA): 192万画素
800x600 (SVGA): 48万画素
640x480 (VGA): 約30万画素。ウェブページの使用や電子メールの添付に適していると言われてるサイズ。
480x360: 約17万画素
400x300: 12万画素
200x150: 3万画素
100x75: 0.75万画素

下の写真は全て表示サイズを400x300（12万画素）に設定しているが、写真をクリックすると記録画素数に応じたサイズで表示される。したがって表示サイズ（400x300）よりも記録画素数が大きい場合は写真が大きく表示される。このときディスプレイの表示容量よりも記録画素数が大きい場合は、写真全体がディスプレイ一杯に表示されるように写真の表示サイズを自動調整する場合が多い。写真の一部しかディスプレイに表示されず、写真がディスプレイからはみ出している如くに表示される場合もある。その場合は、ディスプレイからはみ出している如くに表示されている写真全体の大きさが記録画素数や記録サイズを示している。表示容量よりも記録画素数が大きい場合に画像の表示サイズを自動調整するか、しないかはブラウザーの種類やバージョンによって異なるようだ。一方、表示サイズ（400x300）よりも記録画素数が小さい場合は写真が小さくなり、記録画素数の大きさで表示される。

この実験から幾らかのことが読み取れるが、興味の対象である点については次のことが言える。

700万画素もあるような写真をそのまま使用すると、それ１枚で通常の大きさの写真30枚分、ないしはそれ以上の枚数に相当するディスク容量を使っていると考えても良い。このように大きな画素数の写真は、その記録画素数をSXGAなみか、それ以下にへ変換（リサイズ）することによって、ディスク容量が大幅に節約できる。パソコン用ディスプレイの表示容量としてはVGA、SVGA、XGA、SXGAなどの規格が知られているので、ディスプレイ一杯に画像を表示したい場合は、これらの規格サイズの中から記録画素数を選ぶことが考えられる。参考までに幾らかの標準的な規格サイズを示す。
- SXGAは1280x960（約120万画素）
- XGAは1024x768（約79万画素）
- SVGAは800x600（48万画素）
- VGAは640x480（約30万画素）
- QVGAは320x240（約8万画素）
なお、規格としてのSXGAは1280x1024（約130万画素）であるが、ここでは写真として標準的な4:3比率にして表示している。この種の規格サイズについては下の参考文献に示すフリー百科事典『ウィキペディア』の関連ページが参考になる。

ディスプレイ一杯に表示するにせよ、ディスプレイの一部に表示するにせよ、具体的に記録画素数をどの程度にするかは画像の表示サイズによって決めるのが良いようだ。したがって写真をクリックすると写真が大きく表示されるようにする場合は、大きく表示するときの表示サイズによって決める。蛇足になるが、いろいろな制約がある場合も、制約内で表示サイズを決めれば自ずと記録画素数やファイルサイズが決まってくる。

画像を拡大して表示する場合、記録画素数の4倍（一辺の長さを2倍）も拡大すると、画質の悪化が見られはじめる。下に示す例で言えば、記録画素数200x150の場合がそれに相当する。さらに100x75の例で示すように16倍（一辺の長さを4倍）も拡大すると、画像が大幅にぼやけ、見るに耐えなくなる。記録画素数の4倍という数値は、実験環境によっては変わってくるかも知れないが、一つの参考になる。

ページ立ち上げの速さについては、3MBの画像が10枚含まれるページと、0.4MBの画像が10枚含まれるページとを比較した場合、単純計算でファイルサイズに26MBもの差がでる。これほど大きな差があると、ページの立ち上げスピードに大きな差がでることは自明である。 0.4MBの画像は実験に使った写真であればSXGAなみの大きさがあり、それはパソコン用大型ディスプレイ一杯に映し出すことが出来るぐらいの大きさがある。したがって普通サイズのディスプレイで見た場合、0.4MBの画像と3MBの画像とは区別がつかないのが普通である。下に示す例で言えば第１番目の写真（約3MB）と第３番目の写真（約0.4MB）との比較に相当する。表示スピードの差を実感するような実験も可能であるが、上の数値例だけで十分であると思う。

山歩きができないときに、このような実験を思いつきました。写真や画像といったことに関して私は全くの素人であり、幾らかの関連ウェブページを見てこのような実験を思いついた次第であり、付け刃的な知識しかありません。変なことを言っていたり、している可能性があります。そのような場合はお知らせください。早急に訂正します。

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村尾　博
２００７年３月１８日