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ブナ林に覆われた渓谷を歩き、山の頂とは異なる白神の良さを味わいたい。 そのような気持ちから手始めに暗門周辺の沢を歩いてみた。 そこで見たものは、谷間を照らす朝の日差し、川面すれすれに飛び交う鳥、水面下を走る岩魚の影、午後の日差しに舞うカゲロウの群れなど、ゆったりとした自然の美しさだ。 難所と思われるところでは緊張するが、それ以外のところではゆったりとした自然の美しさを味わうことができる。 訪れた沢はいまだ少なく、しかもバカチョンカメラで撮った写真であるが、幾らかの渓谷の写真を集めてみた。
このようなページを最初に作ったのは2006年秋であり、その後に訪れた沢の写真を追加したり、以前に訪れた沢の写真を更新したりしている。 したがって同じ沢でも、季節が異なる写真が混ざっていることがある。
私にとっては最初の沢歩きであり、容易に歩けると思われる大川の支流・大滝又沢を最初に選んだ。 紅葉の兆しが見られる渓流を遡行し、日本庭園的な風景に出合うことができた。 年間を通じて流量の変動が小さいためか、苔のむした岩が多いのが特徴的である。
最初の沢歩きであるので、普通の登山の格好に長靴で出かけたが、長靴の中に水が入り、気持ちが悪かった。 やはり沢用の履物を揃えるのが良いようだ。
その後、大滝又沢については2回、3回と訪れている。 アクセスが容易であること、「沢歩き」の初心者にとって適度な難所があること、苔のむした日本庭園的な風景を楽しくことができることなどが、大滝又沢の魅力に関係していると思う。 「沢登り」のベテランにとっては容易すぎて魅力的でないかも知れないが、これから「沢歩き」を始めようとするような初心者にとっては適切な沢だと思う。
遡行時期:2006年9月、2007年10月、2008年6月、2008年8月、2009年7月、2009年9月、2010年7月
自然が作った日本庭園 |
難所もあれば、このような場所もある。 |
このような渓谷を求め、大滝又沢を最初に選んだ。 |
大滝又沢と青鹿沢との合流点(標高339m) |
合流点から少し上流の狭い区間 |
合流点から15分ほどのところにある滝 |
この難所には右岸に巻きルートがある |
標高450mあたりの巨石帯 |
伏流の区間が終わり、再び水流が見え始めた。 |
標高500mあたりの大滝 |
大滝又沢の支流・青鹿沢は、大滝又沢本流と同様に緩やかな勾配をもった美しい沢である。 小さい滝が断続的に続き、大滝又沢と青鹿沢との合流点から1時間ほどで落差8mぐらいの滝に着く。
遡行時期:2008年6月、2008年8月
大滝又沢と青鹿沢との合流点 |
青鹿沢の流れ |
このような小さい滝が所々である。 |
比較的大きな滝 |
滝らしい滝が見えてきた。 |
落差8mぐらいの滝 |
かっては青森県側の大川林道(青秋林道)から大滝又沢右岸の山腹を縫って秋田県側へ抜ける歩道があった。 西目屋村の人たちが秋田県側の鉱山へ働きに行くときに利用した歩道である。 交易・山菜とり・狩りなどにも利用されていたのであろう。 いまは大滝又沢が増水した時のエスケープルート(迂回路)などとして稀にしか利用されていないようだ。
そのエスケープルートは朝山沢と言う右岸の枝沢から稜線を乗り越えて大川林道終点へ至るルートである。 朝山沢は大滝又沢と青鹿沢との合流点から7、8分ほど下流側へ行ったところの右岸にある小沢であり、文献によっては「朝日沢(アサヒ沢)」や「銅沢(ドンジャ)」と記されていることもある。 この沢を「バンドリ沢」と呼ぶのは誤っているようだ。 大滝又沢を下流側から遡行してきた場合は、沢が小さくカーブし、上流に向けて直線的に延び始めたところに朝山沢がある。 その沢出合いにはマタギ小屋があったが、いまはテント場として利用されている。
この山越えルートを大川林道終点から歩くことにした。 大川林道終点から林道の延長方向へ延びている歩道を進み、5分ほどで小さい沢(カワラ沢)を越えたところで道筋がT字状に分岐している。 稜線上にルートの踏み跡が着いていると想定し、このT字路のところは直進して急峻な枝尾根を登り、稜線上に出ることにする。 枝尾根のところでは踏み跡がないが、稜線上に出ると微かに踏み跡が見える。 踏み跡があったり消えたりする感じであるが、稜線に沿って大黒森の方向へ進み、標高600mぐらいのピークに着く。 カワラ沢のところから1時間10分ほどかかった。 ピークには笹が生えているが、進むのが困難というほどではない。 笹地帯では踏み跡が見えないが、ピークから大黒森の方向へ下り、カワラザワノボッチ(644m)の西側鞍部(570m)に着いた。 ここからは踏み跡がハッキリと見える。
この鞍部に着いて気づいたことは、この鞍部を南北方向へ乗り越すのが本来のルートのようだということだ。 後の祭りであり、話を進めよう。 鞍部からは山腹に着けられた道筋を辿って徐々に下っていく。 このあたりは美しいブナ林が続く。 林道終点から2時間くらいで朝山沢の上流と思われる小沢に着いた。 それは秋でも沢らしい水の流れがある沢であり、途中で見た枝沢に比べてはるかに大きい。 この小沢へ着く少し手前あたりで道筋が分かりにくいところがたあった。 なぜ、このあたりで道筋が不鮮明になっていたかは後で理解できた。 沢を越えた先は道筋が消えている感じである。
小沢を下ると、落差20mぐらいはあると思われる大滝に出てしまった。 後から考えると、道筋が不鮮明になっているあたりから右岸の尾根を辿って大滝を大きく巻くべきであったようだ。 どうにか滝のところを通過し、さらに沢を下っていくとテント場があり、ホッとする。 やはり朝山沢であった。 テント場は大滝又沢から10mほど上がったところにある。 林道終点からテント場へは2時間半ほどかかった。 沢ルートを利用する方が楽であるから、沢を通って林道終点へ戻る。
この山越えルートの入口が分からなかったので、カワラ沢のT字路のところで急峻な枝尾根を登って稜線上へ出ることにしたが、後で分かった本来のルートは次のようなものである。 カワラ沢のT字路のところでは左へ進み、ハッキリした山道を30分ほど進むと、赤ペンキで「歩道」と書かれた大木(標高500m)が見えてくる。 その少し手前側のカーブのところに分岐がある。この分岐は下草で不明確になっていることが多いので、注意深く探す必要があるかも知れない。 この分岐から急斜面を斜登し、ワラザワノボッチ(644mピーク)の西側鞍部(標高570m)を乗り越える。 この鞍部を南北方向へ乗り越えるのがルートのキーポイントとなる。 その後は比較的ハッキリとした踏み跡を辿り、朝山沢の上流、標高500mぐらいまで進む。 沢を辿って大滝の脇を下るか、または大滝を避けるように右岸または左岸の尾根に沿って大きく下ることが考えられる。
この山越えルートを2回目に通ったときは朝山沢から大川林道終点へ向かった。 この時は、このルートを何回も通ったことのある経験者と一緒である。 落差20mほどの大滝は左岸から高巻き、滝の上側へ出た。 さらに沢を遡行して標高430mぐらいの二股まで進み、そこから右岸へ登った。右岸上に出ると踏み跡が見え始めた。 標高500mぐらいの山腹に延びている踏み跡を辿り、ワラザワノボッチ(644mピーク)の西側鞍部(570m)に着いた。 この鞍部から沢底の方へ斜めに下り、「歩道」と書かれた大木の近くの分岐へ出た。 マタギ小屋跡地から林道終点へは2時間40分ほどかかった。
その後、この山越えルートで出会った巡視員から次の情報を得た。マタギ小屋跡地から沢を50mほど登ったところで、右岸尾根へ登る。 そこには踏み跡が着いており、標高500mぐらいの平坦地へ出る。したがって大滝の方へは進まない。
山行時期:2007年11月、2009年7月
カワラ沢のところから枝尾根を登って稜線上に出ることにする。 |
稜線に沿って進み、ワラザワノボッチ(644mピーク)の西側鞍部に着いた。 |
道筋が横切っているあたりの朝山沢(朝日沢) |
朝山沢を下ると大滝のところに出てしまう。 |
朝山沢のテント場 |
朝山沢の出合いから見た大滝又沢 |
沢歩きの第2弾として大川の「タカヘグリ」と呼ばれる場所を訪れることにする。 そこは渓谷の両岩壁が細く狭まったところであり、ゴルジュや廊下と呼ばれる場所である。 当然、幾らかの滝を見ることができる。 滝の写真は「いちさんまるの山行記録」で見ることができる。 タカヘグリでは腿またはそれ以上に水に浸る。したがって水が冷たいときはウェーダーを履くなど、何らかの防寒対策が必要だ。夏に訪れるのが良さそうだ。
タカヘグリの区間を通過すると、平坦な川原がしばらく続き、標高350mぐらいでヨドメの滝に着く。
遡行時期:2006年10月、2009年8月
朝日に照る大川 |
タカヘグリの入り口 |
タカヘグリにある滝のひとつ |
タカヘグリへ入って振り返ったところ |
このような地形(ゴルジュ)が続く。 |
股下あたりまで浸かった。 |
小さい滝 |
ドボンと落ちそうな深淵 |
ヨドメの脇の滝とヨドメの滝(標高350mぐらい) |
ヨドメの滝(落差20m) |
大川左岸の尾根にはタカヘグリを大きく巻くルートがある。かってのマタギ道である。 ジョウトク沢のところから尾根へ登り、尾根に沿ってタカヘグリを高巻きし、オリサキ沢のところから大川へ戻る。 下流側のジョウトク沢のところでは、ジョウトク沢へ400mほど入ると沢がく字状にカーブしており、そこの右岸の枝尾根あたりにルートが着いている。 ジョウトク沢へ入らず、ジョウトク沢出合いのところから尾根を登りはじめてもよい。その取り付きは急斜面であるが、木の枝につかまりながら登れる。 一方、上流側のオリサキ沢のところでは左岸の尾根を下り、マタギ小屋跡を通過してから枝沢を通ってオリサキ沢へ出て、それから大川の本流へ出る。 地図上では標高341mの合流点の少し上流側になる。
タカヘグリの巻き道を利用するつもりが無いにしても、その存在を知っておくことは万一のときに役立つかも知れない。
なお、ジョウトク沢(常徳沢)はマタギの神様が住むと言われている沢である。 マタギが大川の上流に入るときは、ジョウトク沢の出合いに立ち、かぶりものをとって上流に向って拝礼してから出かけた。
大滝又沢の遡行から帰るとき、マタギであったと言うキノコ採りの人とジョウトク沢の近くで立ち話をした。 良い機会であるのでタカヘグリの巻き道について質問する。 訛りのためキノコ採りの人が言っていることが全て理解できたわけではないが、得た情報に基づきジョウトク沢を少し探索する。そのときの写真である。
時期:2007年10月
タカヘグリの巻き道を示す地図 |
ジョウトク沢へ200mほど入ると滝壷を持った小さい滝がある。 |
滝壺脇の左岸に取り付けられたロープ |
小滝から更に200mほど進むと沢がく字状にカーブしている。 |
ジョウトク沢出合いから尾根へ登る場合はこんな感じ。 |
アクアグリーンビレッジ暗門の駐車場から暗門ノ滝へ向かって歩道を30分ほど進むと、暗門川と横倉沢との合流点に着く。 横倉沢の入り口は両側が高い絶壁となった峡谷になっており、威圧感があるが、やがて普通の谷のようになってくる。 合流点から1時間半ほど歩くと、優美な三条の滝が右岸(上流に向かって左側)に現れる。 そのあたりから白神の渓谷らしくなり、かつ小さい滝が連続して現れる。 連続した滝のところから更に15分ほど進むと魚止めの滝に着く。 暗門川と横倉沢との合流点から2時間半ほどで魚止めの滝に着く。
遡行途中で雨による増水があると帰れなくなる。横倉沢はそのような構造になっているので、天気に注意する必要がある。
遡行時期:2006年10月、2007年9月、2008年7月、
ゴルジュを通過し、やっと普通の谷のようになってきた。 |
このような滝を数カ所で見ながら、石がゴロゴロした川原を進む。 |
優美な三条の滝 |
三条の滝のあたりから雰囲気のある渓谷が続く。 |
小さい滝が連続して現れる地帯の最後の滝 |
更にしばらく進むと魚止めの滝(ヨドメの滝)が現れる。 |
魚止めの滝(ヨドメの滝) |
大滝(40m) |
アクアグリーンビレッジ暗門から西目屋村側(東側)へ1Kmほど行ったところに大割沢がある。 大割沢が美しい沢であるといった情報は皆無であったが、アクアグリーンビレッジ暗門の近くで、舗装道路から容易にアクセスできるといった理由から大割沢を歩いてみた。 最初の部分では自然の日本庭園が期待できると思ったが、歩いた範囲では自然の日本庭園は現れなかった。 やはり美しいと言われている沢を選ぶのが良いようだ。 沢の写真の代りに、沢で出会った人やカツラの巨木の写真を載せておく。
遡行時期:2006年10月
最初の部分では自然の日本庭園が期待できそうな感じがした。 |
沢自体は普通の小さい沢であるが、 |
紅葉を楽しみながら遡行する。 |
このような所もある。 |
カツラの巨木 |
沢で出会った山菜採りの人 |